かぶせとは
かぶせ
ボケの上に、乗っけるようにもう一つボケを足すお笑いのテクニックのこと。一度だけでなく、次々かぶせることもある。類義語に「天丼」がある。
概要
お笑いの技術を示す用語の一つに「かぶせ」という言葉があります。動詞形の場合、「かぶせる」と呼びます。
かぶせ(る)とは、ボケも含めた、ある一つの動作や言動に、誰かが似たようなモチーフで軽い変化をつけたボケを重ねる、すなわち、「かぶせる」ことによって、笑いの連鎖を生み出す、お笑いのテクニックを意味します。
一般的な意味における「かぶせる」とは、「上から覆うようにものを載せる」「人に罪や責任を負わせる」など、ある一つのものに、上から覆って重ねるようなイメージですが、お笑いの世界も、まさにボケを重ねる、という同じニュアンスで使われます。
帽子をかぶせる、といった使い方の場合、帽子を「かぶる」と言うことができますが、お笑いでは、「ボケをかぶる」といった表現はなく、「かぶせる」のみとなっています。
この「かぶせ(る)」の類義語には、「天丼」というお笑い用語もあります。
天丼とは、あるボケを短期間に、あるいはしばらく間を置いてから繰り返す技術を意味します。

天丼とかぶせの違いとしては、天丼は、基本的に自ら同じボケを繰り返す場合を指すのに対し、かぶせは、他者が介入的に行う(自分で繰り返しても構わない)ことが多いという点が挙げられるでしょう。
かぶせる回数は一度とは限らず、次々かぶせることで笑いの連鎖が生じ、相乗効果が高くなっていく(場合によっては共倒れする)ことがあります。
ちなみに、先ほど、「ボケをかぶる」といった表現はないと説明しましたが、「ボケがかぶる」という表現はあります。
これは、「ボケやネタが、かぶる、かぶってしまう」といった使われ方をし、同じようなモチーフのボケやネタになってしまったことを意味します。
A「もっとかぶせてこいよ」
B「ボケがかぶっっとるやないか」
もう一つ、テレビ業界で使われる言葉には「裏かぶり」という専門用語もあります。
ある芸能人などが、一つの番組に出演している最中には、その時間帯の裏番組に同時に出演することを「裏かぶり」と言い、基本的にタブーとされています。
裏かぶりNGの理由は、(同時刻番組は視聴率の競合相手になることから)主に番組スポンサーへの配慮が挙げられます。
ラジオの場合は多少緩めですが、テレビは結構厳しい業界タブーと考えられています。