マンキンとは
マンキンとは、「本気で取り組むこと、全力でやること」を意味するお笑いの世界の業界用語。お笑い芸人の小籔千豊が作った造語で、芸人のあいだで広く使われている。
お笑いにおける「マンキン」の由来
小藪さんの造語
テレビやYouTubeの番組などで、お笑い芸人さんたちが、「マンキン」という言葉を使っていることがあります。
マンキンとは、「本気で取り組むこと、全力でやること」を意味し、「ネタが途中滑っていても、最後までマンキンでやる」「ギャグをマンキンでやる」という形で使われる、お笑いの業界用語です。
今はお笑い芸人さんだけでなく、バラエティのプロデューサーさんや、お笑い関係の記事を書くライターさんが記事内で普通に使っている場面を目にすることもあります。
最初はワッキーに向けた言葉
もともとこの言葉は、吉本新喜劇の小籔千豊さんが最初に使い始めた造語で、きっかけはペナルティのワッキーさんでした。
むかし銀座7丁目劇場で行われた、「東京の吉本芸人と大阪の吉本芸人がネタで闘う」というイベントでのこと。
その際、若手時代のワッキーさんが、アウェイな空気のなかでどんなにスベっても前に出ようと果敢に挑み、顔芸も全力だった。
イベント後、楽屋に戻った小籔さんが、「ワッキーの前に出る姿勢に大阪は負けた。あいつは万金丹でも飲んでいるんじゃないか。だからあんなにスベっても前に出られるんじゃないか」といった話をしていた流れから、「全力でやる」ことを「マンキン」と呼ぶようになります。
万金丹とは、江戸時代に旅の常備薬として重宝された、伝統的な漢方薬です。
このとき小藪さんは、はっきり万金丹という漢方があるということを認識していたわけではなく、意味はいまいちわかっていないものの、「まんきんたん」というくすりがありそうな雰囲気がしたことから使った言葉だった、と語っています。
桃太郎伝説が由来という声も
一方で、麒麟の川島さんによれば、このマンキンという言葉は、当時小藪さんがはまり込んでいたゲームの『桃太郎伝説』が由来だと言います。
そのRPGゲームのなかで、「まんきんたん」という呪文が体力を全回復させるということから、小藪さんがワッキーさんに対し、「あいつ、まんきんたんやな」と言ったということが始まりだと話しています。
『桃太郎伝説』っていうファミコンのカセットあったんですよ。─『桃鉄(桃太郎電鉄)』の前、ロールプレイングゲーム。桃太郎をドラゴンクエストに風にやった。その中で、自分のHPが1番回復する『まんきんたん』っていう呪文(術)がある。それを、我々の先輩・小籔(千豊)さんがめっちゃやり込んでた。
銀座7丁目劇場ってあったでしょ? ロンドンブーツさんとか、ペナルティさんがいたんですけど、東京の芸人より大阪の芸人が結構チヤホヤされてた。そんな東京なのにアウェイだったペナルティーのワッキーさんが、めちゃくちゃ全力でコントやってた。それを見て小薮さんが『アイツ、まんきんたんやな』って言った。滑っても滑っても凹まない、『アイツ、まんきんたんやな』って。
それを聞いた人がめっちゃ笑って、『たしかにまんきんたんやな』、『まんきんたん』が『マンキン』になった。(川島明)
この辺りは、「漢方でもうっすら聞いたことがあるし、やっていたゲームの回復呪文でもある」という両方の側面が小籔さんのなかでリンクしていたのかもしれません。
いずれにせよ、ワッキーさんの姿勢によって生まれた言葉で、最初は小籔さんが近しい人たちのあいだでのみ、「俺たちもワッキーを見習ってマンキンタンを飲もう。折れないで全力を出そう。ここはマンキンで──」という感じで使っていたものが、気づいたら他の芸人さんのあいだにも広がっていったようです。
【小籔千豊】「マンキン」とは? 語源を語る
最後までどんな状況になっても折れずに全力を出したワッキーさんがもと、という背景があったからでしょう。
マンキンは、ただ「全力でやる」という意味合いだけでなく、スベっていても、途中で折れて諦めそうになっても、最後まで全力でやる、目一杯のテンションでやり抜く、といったニュアンスを伴って、「マンキンでやる」と言っている場面が少なくないように思います。
いつから使われていたか
そんな風に、今でこそ割と耳にすることも多い「マンキン」ですが、お笑いの世界では一体いつ頃から使われているのでしょうか。
実は結構前から使われていたようで、たとえば、ネットで過去を遡ってみても、2004年のYahoo!知恵袋に、「マンキンは関西弁なのか、どういう意味なのか」といった質問が寄せられています。
私は関西の芸人さんが好きでよく見るのですが、 『マンキン』って未だにどういう意味か分かりません。 関西弁なのかなとは思うのですが…。 どういう意味なのでしょうか?
関西の芸人さんがよく使っているから、「マンキン」という言葉を関西弁のような方言の一種だと思っている人もいたのでしょう。
