現実をスワイプ【ドンデコルテ】
現実をスワイプ
M-1グランプリの2025年大会決勝、お笑いコンビのドンデコルテが披露したネタ『デジタルデトックス』内において、カリスマ的宗教家のような雰囲気でボケの渡辺銀次が言ったフレーズ。「スワイプ、スワイプ、現実をスワイプ」
概要
M-1グランプリの2025年大会で、見事準優勝を果たしたドンデコルテ。
ボケの渡辺銀次さんと、ツッコミの小橋共作さんのコンビで、M-1の決勝では、妙に説得力があり、かつ哀愁漂う中年男性として渡辺さんが、演説口調で声高に語るというネタを披露します。
たとえば、一本目の『デジタルデトックス』は、デジタルデトックスによって頭がすっきり霧が晴れたようになるから素晴らしいが、もしそんなことになったら現実を直視しなければいけなくなるから、いつまでもスマホに依存していたい、霧に包まれていたい、ということを渡辺さんが訴えかけるネタです。
意図的かどうかはわかりませんが、結果としてだいぶ社会風刺的な側面も持ったネタとなります。でも、だからと言って別に小難しかったり説教くささもなく、ただただ笑えるのが、なんとも新しい漫才に感じます。
ネタ作りを担当しているのは渡辺さんで、趣味に読書や日本文学、民俗学などとあるので、それもあってか、内容的にも「人間」が描かれているような深みがあり、語彙が豊富で耳に残るフレーズも数々盛り込まれています。
このデジタルデトックスのネタのなかで出てきたフレーズが、「現実をスワイプ」です。
これはスマホの画面をスワイプするように、現実もスワイプしていく、という意味で、現代を描写しつつも普通に面白いワードです。
その他、「五里霧中、望むところ」といった言葉や、いかにも「目覚めよ」と言いそうな自己啓発セミナー的な雰囲気で「目覚めるな」と呼びかけるなど、印象的な言葉が多く見られます。
また、ドンデコルテは普段、恋愛関係のネタを行うことも多いものの、M-1で決勝に進めたのは、「恋愛ネタではなかったからではないか」といった考察も渡辺銀次さんは行っています。
──今年、決勝に行けたのはなぜだと思いますか?
渡辺:恋愛をテーマにしたネタじゃなくなったことはでかいでしょうね。恋愛ネタも悪いことではないんですけど、M-1的ではないというか……。恋愛は全員が共感できるので、安易な道ではありますよね。決して、悪いことではないんですけど。——ネタづくりをしている方ならではの視点ですね。
渡辺:いろんなネタを考えて、そのなかからM-1に合うものを研ぎ澄ませていく感じですね。出典 : 《ドンデコルテ インタビュー》もう失敗するわけにはいかない。結成6年でM-1決勝進出!「優勝したら、戦った人たちにお辞儀してから喜びます」
M-1の決勝で披露した二本も、両方恋愛ネタではなく、一本目は現実と向き合うことを恐れてスマホに依存する中年男性。二本目は街の「名物おじさん」前夜のおじさん、という力強くも切実なネタで、準優勝という結果をつかみます。
渡辺銀次さんは、M-1決勝後には、売れていない頃に現実逃避のため行っていたチャーハン作り(銀次チャーハン)やけん玉などでも注目を集めています。
