漫才師はなぜ衣装がスーツなのか
芸人さんにとって、「衣装」は、イメージを持ってもらうためにも重要なポイント。フォーマルなのか、若めの雰囲気なのか、どういった色を強調するかなど、衣装は、そのまま芸人のキャラに繋がっていることも少なくありません。
たとえば、ピンクベストでお馴染みのオードリーの春日さん、アヴリル・ラヴィーンの影響があったという派手なファッションが印象的なZAZYさん、揃って青いジャケットの銀シャリ、スーツ姿に黄色いネクタイの霜降り明星など、衣装を見た瞬間、ぱっとイメージが浮かぶ特徴的な格好の芸人さんも数多くいます。
>>お笑い芸人コスチューム図鑑 vol.1 ランジャタイ、やす子、真空ジェシカetc.
特に漫才師の衣装と言えば、スーツ姿で登場することが大半と言ってもいいでしょう。一体、なぜ漫才師には、スーツ姿が多いのでしょうか。
歴史を辿ると、古くは、吉本興業創世記に活躍した漫才師のエンタツアチャコがスーツ姿で漫才を披露し、このコンビが、日本における「スーツ姿としゃべくり漫才」の起源とも言われています。
このスタイル自体は、アメリカの「ダブルアクト」というスーツ姿で行う二人組の話芸パフォーマンスの影響が大きかったようです。
この起源の話が示すように、漫才師と言えばスーツ、というのは、歴史的な繋がりもありますが、同時に、マイクを挟んでスーツ姿で喋る、というシンプルで無個性なスタイルによって、話芸を引き立たせる、といった面もあるのでしょう。
以前、漫才の際にスーツを着るようになったロングコートダディが、インタビューで次のように答えています。
兎 お客さんというより、こっちの漫才がうまくなったような気がしました。スーツを着るようになって、以前より、しっかり漫才と向き合うようになってきたので。
――ジャルジャルはスーツを着るようになってから、周りが「漫才師」として見てくれるようになった気がする、と話していましたが。
堂前 それは確かに。なめられなくなった気はします。
出典 : なぜ漫才師はスーツを着るのか? スーツ歴1年の“M-1・肉うどんネタ”ロングコートダディに聞く「ナメられなくなった気がします」
この「しっかり漫才と向き合うようになってきた」という言葉が、漫才とスーツの意味合いを象徴しているのかもしれません。