間(ま)とは
間
お笑いの一つの基本的なテクニック。沈黙や表情といった余白の部分を多く取ったり、すかさずボケたり、ツッコミを入れる際にいったん待つことなど、幅広い距離感を意味する。「間を取る」「間がいい」などと言う。
概要
お笑いの世界で頻繁に使われる用語に、「間」という言葉があります。
間とは、間を取る、間を大事にしている、間がいい、といった使われ方がされる芸の世界の用語で、一般の世界でも、「絶妙の間で」といった言葉は、普段使いとして意味の通じる表現と言えるでしょう。
ただし、「間」の意味を説明するとなると、なかなか難しいかもしれません。
それは「間」が、体験に根ざしたものであり、様々に繊細な要素をはらんでいるからです。
あえて説明するなら、余白を取ったり、間髪入れずにボケたり、いったん待ってからツッコミを入れるなど、相方やお客さん、言葉と言葉などの「間(距離感)」のことを指します。
間は、訓練や経験で積まれることもあれば、天性の素質の場合もあるでしょう。
漫才の間合い、リズム、呼吸を合わせる、といったことは、長年の経験が物を言い、幼馴染や同級生の漫才コンビが多いのも、日常でやり取りを行ってきた経験が、お笑いの掛け合いにも活きているのでしょう。
この「間」という感覚は、古くから、歌舞伎や狂言の世界で使われてきた言葉です。
舞踊や演劇などで、拍と拍、動作と動作、あるいはせりふとせりふなどのちょっとした時間的間隔のことを、「間」と言います。「間の取り方がうまい」などというふうに使いますが、要するに、間合い、呼吸、タイミングといった意味です。
専門家に言わしめると、歌舞伎狂言、とりわけ舞踊劇においては、この目に見えない微妙な「間」の取り方ひとつで、出来・不出来を左右してしまうほど大切なものだそうです。
そんなに大切なものであるにも拘わらず、なかなか手にとって教えることが出来ないものだそうで、まことにやっかいなものです。
こうした芸事で「間」が上手く取れないことに由来して「間抜け」という言葉も生まれています。
歌舞伎役者の6代目尾上菊五郎が、「間は魔」という言葉を残すほど、「間」は重要なこととして考えられ、これは現代のお笑いでも変わりません。