ツッコミが難しい、ニンがない、AIにお笑いができない理由
あるときAIの専門家が、番組で、「AIにお笑いは難しい」と言っていました。
その理由として、常識からずれたり合理的ではないところにお笑いの面白さがあるので、ありきたりな答えしか出せないAIには、お笑いは難しい、とのことでした。
そういった点も含めて、AIがお笑いに向かないと考えられる理由をいくつか挙げたいと思います。
間の難しさ
なによりお笑いは「間」が命です。
漫才にせよ、コントにせよ、フリートークにせよ、どこで沈黙し、どこで言葉を発するか、ツッコミなら声の強度、もっと言えばリアクションの表情も含め、繊細なタイミングの取捨選択が笑いを生みます。
AIは文字ベースのやり取りだけでなく、喋りにおいても、この「間」を作るのが困難。
ライブパフォーマンスのような瞬間的な判断も苦手と考えられるので、お笑いにAIが自然に参加するということはちょっとできないのではないでしょうか。
空気を読む力
優れたお笑い芸人さんは、観客の反応や場の雰囲気を読んで即座にネタを調整したり、アドリブを入れたりします。
しかし、AIは限られた情報からしか判断できず、人々のあいだに流れる微妙な空気の変化や観客の表情、雰囲気といった「非言語的な情報」を十分に理解できません。
こういった点からも、AIには極めて繊細なコミュニケーションでもあるお笑いは難しいでしょう。
ニンの欠如
多くのお笑いは、いわゆる「ニン」と呼ばれるものが重要とされています。
ニンとは、奥深くから滲み出るような人間性のこと。これは、恥ずかしい経験、人間関係の機微、日常の不条理など、広く「人間」としての体験に根ざしたものです。
AIには、実際の生活経験がないため、そういった心を掴むような「ニン」の部分や、「あるある」のような共感を生む笑いを自然に生み出すことは難しいでしょう。
予測可能性
冒頭で触れたこととも関わりますが、お笑いの多くは予想外の展開や意外性から生まれます。
AIは学習したパターンに基づいて応答するため、真に予想外で斬新なユーモアを生み出すのが苦手とされています。
面白い、というだけなら可能
ただ、こういった人間的な「お笑い」に関しては難しいものの、それとは別の不条理性で、面白い、笑える、といったことは動画の生成AIなどを中心に行われていますし、今後も限られた部分における「面白い」ものはAIも作れるでしょう。
それでも、いわゆる「お笑い」は、少なくとも当面は不可能なのではないでしょうか。
令和ロマンの松井ケムリさんが、芸人になりたいと父親に告げた際、反対されるかと思ったら、「AIにできない仕事だからいいんじゃない?」と言われたというエピソードがありますが、まさにケムリ父の言う通り、お笑いは当面、「AIにできない仕事」と言えるのではないでしょうか。
あとは、「お笑いは流行っていない」論争もあるので、お笑い自体がなくなりさえしなければ、AIに奪われる、という心配は当分ないのかもしれません。
